「sân si」とは、ベトナム語で人の妬みや嫉妬、執着心を表す言葉です。日本語の「妬ましい」「嫉妬深い」といった言葉に相当しますが、単なる感情表現にとどまらず、仏教思想や現代社会における行動様式まで、幅広い意味合いを含んでいます。本記事では、「sân si」の語源や種類、現代社会における使い方、そして克服方法まで詳しく解説します。
「sân si」は、「sân（ sân hận：怒り、憎しみ）」と「si（ si mê：執着、妄執）」の二つの言葉から成り立っています。
- 「sân」とは、自分の思い通りにならないことに対して怒りや憎しみを感じ、復讐心を持つことです。怒りやすく、利己的で、敵意を抱きやすい傾向があります。
- 「si」とは、道理や物事の本質を見失い、自分の欲望や感情に盲目的に執着することです。思考力が乏しく、頑固で、説得が難しい傾向があります。
つまり、「sân si」とは、怒り、憎しみ、嫉妬、羨望、盲目的な執着といった、人間の負の感情や行動を包括的に表す言葉です。理性よりも感情や欲望を優先し、他人の成功や幸福を素直に喜べない状態を指します。
「sân si」を抱く人は、他人が自分より優れているのを見るとイライラしたり、手段を選ばず欲しいものを手に入れようとしたりします。
「sân si」は、主に金銭、名声、性欲といった人間の欲望が原因で生じます。
「sân」には、大きく分けて以下の3つの種類があります。
- 自分の権利、財産、名声、性欲が侵害されたと感じた時の怒り
- 地位、金銭、性欲への貪欲さから生じる怒り
- 他人の利益、財産、名声、性欲に対する嫉妬や羨望から生じる怒り
また、「si」も以下の3つの種類に分類されます。
- 道徳を理解できない
- 物事の本質を見抜けない
- 自分の心身の状態を理解できない
人生において、「sân si」を完全に避けることは難しいでしょう。誰しも、他人の成功に嫉妬心を抱くことがあるはずです。
自分が「sân si」を抱いているかどうかを知るには、以下の兆候がないか、自分の内面をよく観察してみましょう。
自己中心的である: 「sân si」が強い人は、自分の欲望や感情ばかりを重視します。そのため、自分の意見と異なる意見を聞くと、それを否定し、自分の意見を正当化しようとします。
賞賛は好きだが、批判は嫌い: 批判されると、相手も自分に「sân si」を抱いていると思い込み、感情的に反発します。逆に、褒められると得意になり、勝利に酔いしれます。
怒りやすい: 「sân si」が強い人は、些細なことでイライラしたり、怒ったりしやすく、暴力に訴えることもあります。
他人のあら探しが好き: 他人の欠点を探し出して批判することで、自分の怒りを満たそうとします。
負けず嫌い: プライドが高いため、他人には負けたくないという気持ちが強く、常に自分が一番でいたいと思っています。自分より優秀な人がいると、「sân si」が湧き上がります。
常に「sân si」を抱いていると、自分自身を見失ってしまいます。限られた時間を有意義に過ごすために、「sân si」を減らす努力をしましょう。心の平安を得るために、以下の原則を実践してみてください。
大きな問題は小さく、小さな問題は気にしない: 「sân si」は、物事を細かく気にすることから始まります。実際には大したことではないのに、気にしすぎることで心が乱れてしまいます。些細なことは気にせず、大きな問題も小さく捉えるようにしましょう。
自分が持っているものを大切にする: 人間の不幸は、無い物ねだりから始まります。 他人が自分より恵まれていると思うこと自体が、「sân si」であり、不幸の原因です。
外見で判断しない: 見た目だけで物事を判断してはいけません。感情的な判断で他人を傷つけないように、よく考えてから行動しましょう。
多様性を受け入れる: 「sân si」が強い人は、自分と異なる意見を受け入れることができません。多様な考え方を受け入れることで、批判するのではなく、学ぶことができます。
現実世界でもインターネット上でも、「sân si」は、他人にも自分にも悪影響を及ぼします。欲しいものが手に入らない時は、自分が持っているものを大切にしましょう。今を大切にすることが、「sân si」を克服する最良の方法です。
元来、「sân si」という言葉は、仏教の教えに基づき、人間の心の毒（貪欲・怒り・愚痴）を戒めるために使われていました。現代では、意味合いが変化し、若者たちの間では、嫉妬深い人をからかう言葉として使われています。語源を理解しないまま使っている人も多く、「妬み」「嫉み」といった言葉とほぼ同じ意味で使われています。しかし、「sân si」という言葉の方が、より幅広い意味合いを含んでおり、よりインパクトがあるため、好んで使われています。
インターネット上では、「sân si」は、他人の生活を詮索したり、批判したりする人を指す言葉として使われています。彼らは、他人の華やかなSNS投稿を否定し、自分の理屈で批判します。間接的に批判したり、悪意のあるコメントを残したりすることで、自分の嫉妬心を満たそうとします。
