「lót tích」は、ベトナム語の若者言葉で、英語の「Lost Teach」(=「礼儀知らず」「行儀が悪い」)をベトナム語風に発音したものです。ベトナムの文化では、「mất dạy」(「Lost Teach」のベトナム語訳)は、無礼、非礼、無教養な行動や、社会規範に従わない人々を指す言葉です。
この「lót tích」という言葉が、本来の「Lost Teach」の代わりに使われるようになった背景には、Z世代を中心とした若者たちの、ある種の不満があります。影響力のある有名人の不道徳な言動に対し、彼らは直接的な批判を避けつつも、それとなく非難するために、この言葉を使うようになったのです。また、SNSの検閲や、親に言葉の意味を知られないようにするという目的もあるようです。
実は「lót tích」にはもう一つの意味があり、「plot twist」(どんでん返し)という意味で使われることもあります。これは、映画や物語の中で、予想外の展開が突然起こり、観客を驚かせるような場面を指します。
「lót tích」という言葉を使ったコメントや動画は、2023年6月から見られるようになりましたが、実際に流行し始めたのは2024年4月頃からです。若者たちは、TikTokの動画で注目を集めたり、SNSの最新ニュースについてコメントする際に、この言葉を使って個性を表現しています。また、「lót tích」は、再生回数を稼ぐためや、炎上目的で物議を醸す動画を作成する際にも、よく使われています。