B型肝炎は、B型肝炎ウイルス（HBV）によって引き起こされる肝臓の感染症です。このウイルスは、感染者の血液、精液、またはその他の体液を介して感染します。最も一般的な感染経路は、出産時の母子感染です。また、性行為、カミソリ、歯ブラシ、注射器、刺青針などの個人用物品の共有によっても感染する可能性があります。
B型肝炎は、握手やハグなどの通常の接触では感染しません。また、食べ物や飲み物を共有したり、くしゃみや咳をしたり、母乳で授乳したりすることでも感染しません。
B型肝炎は、インフルエンザに似た症状を伴う短期的な病気として発症することがあります。健康な成人および5歳以上の子供の大部分は、体の免疫システムがウイルスを排除した後、完全に回復します。しかし、免疫システムがウイルスを排除できない場合、B型肝炎は慢性化します。
時間の経過とともに、体内のB型肝炎ウイルスは、肝臓の腫れ、肝臓の瘢痕組織（肝硬変）、または肝臓がんを引き起こす可能性があります。炎症とは、体の組織が感染したときに痛みを伴う腫れが生じる状態です。幼児や免疫システムが低下している人は、特に慢性B型肝炎のリスクが高くなります。幼少期に感染した人の最大90％が慢性B型肝炎になります。
B型肝炎は「沈黙の殺人者」と呼ばれています。なぜなら、多くの人が症状を示さないため、病気は何年も気付かれずに進行するからです。多くの人が、黄疸、目の黄変、腹部または足首の腫れ、倦怠感、吐き気、衰弱、食欲不振、体重減少、皮膚にクモの巣状の血管が現れる（くも状血管腫）など、深刻な肝臓損傷の症状が現れて初めて、自分が慢性B型肝炎であることに気付きます。
誰でもB型肝炎に感染する可能性がありますが、B型肝炎の母親から生まれた人、B型肝炎ウイルスに感染した人と家庭内で密接に接触している人、B型肝炎が蔓延している世界の地域（アジアおよび太平洋諸島のほとんどの国を含む）に住んでいる人、職場で血液または体液に接触する人、血液透析を受けている人、B型肝炎の性的パートナーがいる人、過去6か月間に複数の性的パートナーがいる人または性感染症の既往歴がある人、薬物注射をする人、男性同性愛者など、リスクが高い人もいます。
妊娠中の女性にとって、B型肝炎の検査は特に重要です。感染していない場合は、予防接種を受けてください。B型肝炎に感染している場合は、医師と助産師に知らせて、赤ちゃんへの感染リスクを減らせるようにしてください。感染のリスクを減らすために、赤ちゃんには出生直後にB型肝炎ワクチンとB型肝炎免疫グロブリンを接種する必要があります。
医療従事者は、あなたの血液を検査して、現在感染しているか、過去に感染したことがあるかどうかを確認できます。検査結果が陽性の場合、医師は血液中のウイルスと肝臓酵素のレベルを測定して、ウイルスが活動していて肝臓に損傷を与えているかどうかを判断できます。医師は、超音波を使用して肝臓がんを探し出すことがあります。
B型肝炎はワクチン接種によって予防できます。B型肝炎ワクチンは、6か月間に3回接種されます。完全に保護されるためには、3回すべて接種する必要があります。ワクチンは、妊婦や乳幼児を含む、あらゆる年齢層の人にとって安全です。最近B型肝炎ウイルスに曝露されたと思われる場合は、すぐに医師の診察を受けてください。B型肝炎免疫グロブリンと組み合わせた初期治療は、感染を防ぐことができます。
B型肝炎を完全に治癒させる薬はありませんが、慢性B型肝炎の治療に承認されている薬はたくさんあります。治療の目標は、肝臓の炎症と体内のウイルス量を減らすことにより、肝臓の損傷、肝硬変、および肝臓がんのリスクを減らすことです。慢性B型肝炎の人は、アルコール、薬物、タバコ、および肝臓に有害な可能性のあるハーブの使用を避けるべきです。
