ジェネリックは、C#.NETにおける強力なプログラミング技法であり、ロジックを型ごとに書き直すことなく、さまざまなデータ型に再利用可能なコードを作成できます。ジェネリックは、山括弧<>
で囲まれた大文字(例:List<T>
、Dictionary<TKey, TValue>
)で表される型パラメーターを使用します。T
、TKey
、TValue
は、オブジェクトの初期化時に使用される具体的なデータ型を表す型パラメーターです。
ジェネリックの最も一般的な用途の1つは、List<T>
のようなコレクション(集合)の作成です。ジェネリックが登場する前は、Student
オブジェクトのリストを作成するには、ArrayList
を使用し、要素を取得するたびに型キャストを行う必要がありました。これは、型キャストが間違っている場合、実行時エラーのリスクがありました。
// ジェネリックなし
ArrayList students = new ArrayList();
students.Add(new Student());
students.Add(new Car()); // コンパイル時にエラー検出なし
Student first = (Student)students[0]; // 型キャストが必要、実行時エラーの可能性あり
ジェネリックを使用すると、List<T>
は、型T
のオブジェクトのみをリストに追加することを許可することで、この問題を解決します。間違った型のオブジェクトを追加しようとすると、コンパイラはコンパイル時にエラーを検出します。
// ジェネリックを使用
List<Student> students = new List<Student>();
students.Add(new Student());
students.Add(new Car()); // コンパイル時エラー
Student first = students[0]; // 型キャスト不要
ジェネリックを使用すると、多くの利点があります:
- コードの再利用性: さまざまなデータ型に対して一度だけコードを記述できます。たとえば、
List<T>
クラスは、List<int>
、List<string>
、List<Student>
などに使用できます。 - 型の安全性: コンパイラはコンパイル時にデータ型をチェックし、実行時エラーを最小限に抑えます。
- パフォーマンス: 値型を扱う際のボックス化/ボックス化解除を回避し、プログラムのパフォーマンスを向上させます。
- 可読性と保守性: コードが明確になり、理解しやすく、保守しやすくなります。
ジェネリックは、コレクションだけでなく、メソッド(ジェネリックメソッド)とクラス(ジェネリッククラス)の定義にも使用されます。たとえば、Swap<T>
メソッドは、任意のデータ型の2つの変数の値を交換できます。
public static void Swap<T>(ref T a, ref T b)
{
T temp = a;
a = b;
b = temp;
}
int x = 10;
int y = 20;
Swap<int>(ref x, ref y); // 2つの整数を交換
string str1 = "Hello";
string str2 = "World";
Swap<string>(ref str1, ref str2); // 2つの文字列を交換
まとめると、ジェネリックは、C#.NETの重要な機能であり、柔軟性、安全性、効率性に優れたコードを作成するのに役立ちます。LINQなどの多くのテクノロジーの基盤であり、最新のアプリケーション開発において重要な役割を果たします。ジェネリックオブジェクトとは何か、そしてどのように使用するかを理解することは、プログラマーがコードの品質を向上させ、アプリケーションのパフォーマンスを最適化するのに役立ちます。