LGBTとは、「Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)」の頭文字をとった言葉です。日本語では、それぞれ「女性同性愛者」「男性同性愛者」「両性愛者」「性同一性障害(を含む)」と訳されます。 LGBTは、性的指向や性自認が多様な人々を表す用語です。
レズビアン(女性同性愛者)
レズビアンとは、女性に恋愛感情や性的魅力を感じる女性のことを指します。この言葉は、紀元前6世紀に女性への愛情を表現したとされる詩人サッフォーが暮らしていたギリシャのレスボス島に由来しています。
ゲイ(男性同性愛者)
ゲイという言葉は、英語で「陽気な」「楽しい」という意味を持つ言葉でした。後に、男性同性愛者を指す言葉として使われるようになり、現在では同性愛者コミュニティにおける連帯や共感を表す言葉としても広く使われています。
バイセクシュアル(両性愛者)
バイセクシュアルとは、男性にも女性にも恋愛感情や性的魅力を感じる人のことを指します。レズビアンやゲイと同様に、バイセクシュアルの人々も社会からの偏見や差別、自己理解の難しさなど、様々な困難に直面することがあります。
トランスジェンダー(性同一性障害(を含む))
トランスジェンダーとは、出生時に割り当てられた性別と、自分の認識する性別が一致しない人のことを指します。生まれた時に割り当てられた性別に違和感を感じたり、社会が定める性別に窮屈さを感じたりする人が含まれます。ホルモン療法や性別適合手術などを通して、自身の性別に合った体へと変化を求める人もいます。
これらの用語は、性的指向や性自認が多様な人々が共通の言語とコミュニティを持つことで、権利擁護活動をしやすくするために用いられています。
性自認について
性自認(ジェンダーアイデンティティ)とは、自分がどのような性別であると認識しているかを指す概念です。男性、女性、あるいはそのどちらでもない、もしくは両方の要素を持つなど、様々な形があります。性自認は、生物学的要因と社会的要因の両方から影響を受けます。
思春期におけるホルモンの変化や、周囲からの影響によって、性自認は変化していくことがあります。自分がどのような性別で、どのような人間になりたいのかを理解するには、時間が必要となる場合もあります。
LGBTが社会的に認められたのはいつ?
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の歴史は古くからありますが、社会的に認められるようになった時期は、国や地域によって異なります。
世界的に見ると、1960年代から70年代にかけて、LGBTの権利を訴える運動が活発化しました。1969年にニューヨークで起きたストーンウォールの反乱は、警察や社会からの差別や暴力に対する抗議運動であり、LGBTの権利運動における重要な転換点となりました。
1990年7月15日、世界保健機関(WHO)は、同性愛を精神疾患のリストから削除しました。これは、LGBTが精神疾患ではなく、他の人々と同じように尊重されるべき存在であるという国際的な認識を示すものでした。
特に、LGBTコミュニティにとって最も記憶に残る出来事は、2015年6月26日にアメリカ合衆国で同性婚が合法化されたことです。
日本では、近年、特にこの10年間でLGBTへの理解と認知が広がってきました。2015年には、同性カップルが結婚できないことを理由とする規定が削除されました。LGBTコミュニティの活動もより公然と行われるようになり、多くの社会団体や政府機関から支援を受けています。しかし、LGBTの権利の保護と認知については、まだ多くの課題が残されています。
LGBTであることを家族や友人にカミングアウトすべきか?
LGBTであることを家族や社会に公表するかどうかは、個人の決断であり、正しい答えはありません。個人の状況、家族環境、社会環境、文化、教育、社会的な偏見、法的権利、安全など、様々な要素を考慮する必要があります。
カミングアウトすることで、家族やコミュニティから支援を得られる可能性があります。また、自己肯定感を高め、精神的な負担を軽減することにも繋がります。しかし、カミングアウトによって、社会からの反発や差別を受ける可能性も否定できません。特に、性的指向や性自認の多様性に対する理解が進んでいない社会では、そのリスクが高くなります。
カミングアウトを決断する場合は、事前に十分な情報収集と心の準備を行い、起こりうるリスクを考慮する必要があります。もし迷っている場合は、LGBT支援団体や専門のカウンセラーに相談してみるのも良いでしょう。
最も重要なことは、どのような決断を下しても、自分自身を愛し、尊重することです。
カミングアウト前に準備すべきこと
LGBTであることをカミングアウトすることは、人生における大きな決断となる可能性があります。そのため、カミングアウト前にしっかりと準備することが大切です。以下は、カミングアウト前に準備すべきことの一部です。
- LGBTについて学ぶ: LGBTとは何か、基本的な用語や概念、LGBTが直面している問題や課題、LGBTの権利などについて理解を深める。
- カミングアウトする理由を明確にする: なぜカミングアウトしたいのか、カミングアウトによって何を得たいのかを明確にする。支援を得たいのか、受け入れてもらいたいのか、LGBTに対する周りの認識を変えたいのかなど、目的を明確にすることが重要。
- 法的権利について調べる: 住んでいる地域のLGBTに関する法的権利について調べる。性的指向や性自認に関する権利、結婚やパートナーシップに関する権利、教育や雇用における権利、LGBTに対する差別からの保護などについて理解する。
- 精神的な準備をする: カミングアウトは、精神的なストレスや周囲との衝突を招く可能性がある。困難な状況に立ち向かうための心の準備をし、精神的な負担を軽減するための対策を講じる。
- 相談できる相手を見つける: 同じ経験をした人や、信頼できる友人、LGBT支援団体などに相談することで、精神的な支えを得ることができる。相談できる相手を見つけることは、カミングアウトを成功させるための重要な要素となる。