チャムチェオは、ベトナム北西部ソンラ省に住むタイ族の食卓に欠かせない調味料です。様々な食材を巧みに組み合わせ、竹の子、もち米、野菜、魚など、多くの料理につけダレとして使われています。
チャムチェオは、複数の材料が織りなす独特の風味を特徴としています。その名前もまた、多くの人々の興味を引きます。「チャム」はタイ語でつけダレを意味し、「チェオ」は塩、うま味調味料、ニンニク、唐辛子、ライムの葉、コリアンダー、ニンニクの葉、ライムの葉などを混ぜ合わせたものです。特に欠かせない材料は、山岳地帯で採れるマックケンと呼ばれる野生の胡椒です。これらの材料はすべて、独特の香りが漂うまで炭火で焼かれます。その後、細かく刻み、すりつぶして混ぜ合わせ、「チェオ」を作ります。この「チェオ」に魚醤を加え、味を調整すれば、「チャムチェオ」の完成です。口にすると、最初は少し不思議な風味ですが、次第にその美味しさに魅了されるでしょう。
チャムチェオの材料
基本の「チェオ」に加え、ソンラ省のタイ族は、材料を加減したり、新しい材料を加えたりすることで、様々なバリエーションを生み出しています。例えば、チェオ・タップ・カイ(鶏レバーのチェオ)、チェオ・パ(魚のチェオ)、チェオ・ホム・ペン(コリアンダーのチェオ)、チェオ・ナム・ソム(酸っぱいスープのチェオ)などがあります。これらの名前は、チェオに加える材料によって付けられています。チャムチェオには、乾燥タイプと液体タイプの2種類があり、乾燥タイプは葉に包んで数ヶ月保存することができます。液体タイプは、使用する際に、材料が浸るくらいの魚醤と砂糖、うま味調味料、マックケンパウダー、ライム果汁を加え、箸でよく混ぜればすぐに食べられます。それぞれのチェオは独自の風味を持ち、料理に合わせて使い分けられます。
チャムチェオは、タイ族の民間伝承の中で代々受け継がれてきました。その薬効成分により、生もの、レア、焼き物など、どんな料理を食べてもお腹を壊すことがないとされています。そして、それがチャムチェオが今もなおタイ族の食卓に欠かせない理由なのかもしれません。ソンラ省を訪れると、タイ族の人々が、このチャムチェオを地方からの客をもてなす際によく使っていることが分かります。素朴な料理でありながら、山岳地帯の特産品であるこのチャムチェオは、一度味わうと、その濃厚で素朴な味、そしてこの地の山岳民族の素朴な人柄を忘れることができません。ソンラ省を訪れる機会があれば、ぜひチャムチェオをお土産に買って帰りましょう。