カットオフタイム(Cut-off time)とは、物流、特に海上輸送において重要な用語で、「搬入期限」または「締切時間」を意味します。これは、輸出者が通関手続き、コンテナの搬入などを完了し、貨物が予定通り船積みされるための最終期限です。カットオフタイムは重要なマイルストーンであり、輸出者はこの期限までに必要な書類と手続きを完了する必要があります。期限に間に合わない場合、貨物は船に積載されず、通常は約1週間後の次の便まで待たなければなりません。カットオフタイムを守らないと、特に重要な貨物の場合、時間と費用に大きな損失が発生する可能性があります。
通常、カットオフタイムは、船舶の予定出発時刻の24~48時間前に設定されます。この時間的な余裕は、港湾がコンテナの処理、配置、船積みを安全かつ組織的に行うために必要な時間を確保するためです。カットオフタイムの遵守は非常に重要です。期限内に完了しない場合、貨物の遅延、追加費用の発生、あるいは予定していた船舶に乗り遅れる可能性があります。特別な状況では例外が認められる場合もありますが、通常は非常に限定的で、正当な理由が必要です。
カットオフタイムの概念を理解した上で、物流業界で現在一般的に使用されているカットオフタイムの種類について詳しく見ていきましょう。それぞれのカットオフタイムの種類を理解することは、企業が輸送プロセスを適切に遵守するだけでなく、「貨物遅延」や「船積み遅延」のリスクを軽減するのにも役立ちます。
よくあるカットオフタイムの種類
S/Iカットオフ (Shipping Instruction Cut-off): Shipping Instruction (S/I) は、荷送人(Shipper)が船会社に提出し、船荷証券(Bill of Lading – B/L)を発行するために必要な重要な書類です。荷送人がこのカットオフタイムまでにS/Iを提出できない場合、船荷証券が期限内に発行されず、貨物が予定通り船積みされない可能性があります。これは、「貨物遅延」や「船積み遅延」と呼ばれる状況で、サプライチェーンに遅延と損害をもたらします。
VGMカットオフ (Verified Gross Mass Cut-off): VGMカットオフは、荷送人がコンテナ重量確認書(Verified Gross Mass)を船会社に提出する最終期限です。これは、海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約)に基づく義務規定です。荷送人がこの情報を期限内に提供しない場合、貨物はB/L発行の要件を満たさず、「船積み遅延」となり、便の再手配による追加費用が発生します。
Docカットオフ または Draft B/Lカットオフ: Docカットオフは、荷送人が船荷証券(B/L)の内容を船会社に確認する期限です。荷送人が期限内に確認しない場合、または確認が遅れた場合、船会社はShipping Instructionの内容に基づいて船荷証券を発行します。これにより、誤りや船荷証券の修正が必要になる場合があり、荷送人は修正費用を負担することになり、輸送効率の低下や処理時間の延長につながります。
C/Yカットオフ (Container Yard Cut-off) または 搬入期限: C/Yカットオフは、荷送人がコンテナヤードに貨物を搬入する期限です。これは、輸出通関手続きの最終段階であり、現場担当者が「本船積み」の手続きを完了し、貨物が通関され、予定通り船積みされるようにする必要があります。このカットオフタイムまでに完了しない場合、貨物は輸送されず、配送スケジュールに重大な影響を及ぼします。
カットオフタイムの遵守は、輸送プロセスの成功に影響を与え、サプライチェーンに関わる多くの関係者に影響を与えます。具体的には、買い手(輸入者)、売り手(輸出者)、運送会社、税関、港湾当局、保険会社、通関業者(CHA – Customs House Agent)、複合一貫輸送業者などが含まれます。これらの関係者は、国際輸送プロセスが円滑かつ期限通りに行われるように協力します。カットオフタイムの遵守は、リスクを軽減するだけでなく、サプライチェーンに関わるすべての関係者にとって時間とコストを最適化します。