クラムとは、海水、汽水、淡水に生息する二枚貝の総称です。生物学的な厳密な定義はなく、漁業や料理の分野で広く使われています。
「クラム」という言葉は、様々な解釈で使われます。アメリカでは、二枚貝全般を指すこともあれば、砂の中に潜る貝を指し、カキ、ムール貝、ホタテなどの固着性や遊泳性の貝と区別することもあります。イギリスでは、より狭い範囲で使われ、特定の種類の二枚貝のみを指します。
フランスでは、Palourde、prairieなど、それぞれの二枚貝に固有の名前があり、「clam」は北米産のquahogのみを指します。quahogにも種類があり、hard clam(Mercenaria mercenaria)とocean quahog(Arctica islandica)が存在し、混乱を招くことがあります。オーストラリアでは、ムール貝がクラムの総称として使われています。
Razor clam、Giant clam(シャコガイ)、Geoduck(ミルクイ)など、名前に「Clam」と付く貝もありますが、これらについては別の記事で紹介します。
代表的なクラムの種類:
1. 北米のクラム:
- ソフトシェル・クラム (Mya arenaria): 最大15cmまで成長する大型の貝で、殻は薄く壊れやすいです。身は砂っぽい食感があります。
ソフトシェル・クラムの殻
- ハードシェル・クラム (Mercenaria mercenaria): ソフトシェル・クラムより小型で、最大約13cm。殻は楕円形で、白黒、茶色、または薄い灰色です。
- アトランティック・サーフ・クラム (Spisula solidissima): 最大のクラムで、非常に硬いクリーム色の殻を持ちます。20~25cmまで成長します。
- マニラ・クラム (Venerupis philippinarum): 日本、韓国、中国原産。厚い楕円形の殻を持ち、大きさは約6cm。身は甘くて柔らかいです。
2. ヨーロッパのクラム:
- ヴィーナス・シェル (Venerupis decussata): 最も美味しいクラムの一つとされています。最大7~8.5cmまで成長します。
- ゴールデン・カーペット・シェル (Venerupis aurea): 黄色の殻を持ち、最大4.5cmまで成長します。
- ワーティー・ヴィーナス・シェル (Venus verrucosa): 茶色の殻を持ち、約7cmまで成長します。
3. ヨーロッパとアメリカ両方に分布するクラム:
- オーシャン・クアホッグ: 水深15~100mの細かい砂や泥の中に生息し、成長は遅いですが、200年以上生きる個体もいます。
4. 養殖されるクラム:
- アメリカとカナダ: マニラ・クラムが養殖されています。
- ヨーロッパ: Venerupis pullustraが養殖されています。
クラムを使った料理:
クラムは、スープ、蒸し物、揚げ物、焼き物など、様々な料理に使われます。
クラムチャウダー: 北米で一般的なクラムスープで、マンハッタン・クラムチャウダー(トマト入り)やニューイングランド・クラムチャウダー(牛乳、クリーム入り)など、様々な種類があります。
ピピ – オーストラリアのクラム:
ピピ (Donax deltoides) は、オーストラリアの海岸に生息するクラムです。身は甘く、少し脂肪があり、しっかりとした食感です。